最終回 官僚国家をぶっ飛ばせ

●高度な政治判断はシンプル
アジるつもりはないけれど、我々に対する官僚の姿勢は限界を超えています。
選挙の洗礼を受けておらず、我々の代表者でも何でもない、税金で生計を営んでいる官僚に、政治家諸氏がこびへつらう姿も異常です。
不健康そのもので気分が悪くなります。
何がそうさせているのかはわからりませんが、あまりにも本末転倒、国民不在。
おかしなものです。管直人厚生大臣が言っていた、「官僚の組織論より国民の利便が優先するのは当然」という言葉が何と新鮮な響きに感じられることでしょう。

遠い昔に忘れ去っていたことを思い出し、ハッと我にかえる思いです。
こんな基本的なことが新鮮に感じられる異常さ、こんな簡単なことがなぜか置き去りにされている異常さ。
官僚達に埋没し、住専処理の税金投入説明では、武村正義大蔵大臣は言葉に窮するあまり、「これは高度な政治判断です」と言い放ったのです。
国民の代表が、国民に対してなんと失礼なことを言うのでしょう。
何が高度な政治判断だッ!高度な政治判断だから愚国民には理解できないとでも言うのかッ!。 だから黙っていろッ!とでも言いたいのでしょうか。
政治判断は、高度であるほど原点に返ったシンプルなものです。
国民の利便か官僚の利便かを対比して考えれば、瞬時に答えが出てくるでしょう。
住専は倒産させるべきです。
管財人を決定し法律の下に粛々と進めていけばよいのです。
農協が危ないのであれば、その危ない部分を分析し預金者の保護を考えて対処ばよいのです。
こんなことは高度の政治判断でも何でもなく、ごく当たり前な基本的なことでしょう。
末期症状の住専を助けるために税金を投入するなんざ、頭の悪い下賎の判断です。全く腹が立つ。

●何気なくポヨンと聞く

第2回目の質問状の作成にとりかからなければなりません。
とにかく1000億円の資金を捻出すればよいわけです。なに大したことはありません、たかが1000億円です。整理された資料さえあればチョチョイのチョイで出てきます。
以下2回目の質問状です。
1994年10月2日
高速道路調整官 田中康順様
課長補佐 芝村善治様
下記の資料をお願いいたします。
①平成5年度の決算書が平成6年10月になっても出来ない理由
前回決算書の提示を求めたところまだできていないとのことでした。本来の目的とは関係ない項目ですか、一応息抜きのジャブのつもりで入れておきました。
②損失補填引当金の売り上げに対しての決められている
損失補填金の存在は誰にも知られていない項目です。天変地異に備えての保険のようなもので、売り上げの15%を積み立てているとのことでした。これが本当 に実行されているとしたらものすごい。平成5年度だけでも2145億円の金が積み立てられていることになります。
次回質問では、この保険が目的のために使用されたことがあるのか聞いてみましょう。そして積み立て累積の金額はどのくらいであるのか聞いてましょう。1000億円どころの話ではない。ばく大な金額であるはずです。
③その他の収入80億円の主たる明細
白状すると意味不明の質問です。あまり突っ込み過ぎると全体がギスギスして警戒心を持たれるので可愛くいった部分。
④財投融資借入金16兆1144億円の平均金利は?
⑤その他の借り入れ金7682億円の主なる借り入れ先とその平均金利は?
⑥道路維持管理費2626億円の主たる借り入れ先とその平均金利は?
⑦平成4年度の貴公団が管理している道路の内、今回値上げとなる道路総延長
⑧その道路の管理に従事している従業員数は?
⑨その道路の新規着工道路の設計などに従事している従業員数は?
⑩次年度の自然増売り上げ予想額は?
⑪生保からの借り入れの可能性は?
何気なく聞く風を装っているが実は大変な質問なのです。何といっても生保直借りが一番金利の安い調達方法だからです。借り入れ金全体の金利が1%下がる と、何と1688億円の経費ダウンとなります。0・1%でも169億円の経費が浮くのです。こういう重大な質問は何気なくポヨンと聞くに限ります。どうで もよい質問はネッチラコッチラしつっこく聞くのがコツでしょう。
⑫生保から借り入れ出来ないとすれば、その主なる理由
今のうちに逃げ道を塞ぐにことにしたのです。
備考、特別の指示のない場合の数字は平成4年度でお願いいたします。
今回の資料は非常に重要なものです。
答えの難しい項目に関しても出来る限り正確に出して下さい。
また解答不可の時はその理由を明記して下さい。
宜しくお願いします。
見てください、この丁寧さ親切さ。
しかしこの2回目の質問状を松原さん経由で建設省へ提出してから、待てど暮らせど返事がもらえません。
2回目の会合日取りが決まらないのです。
松原さんも私からの催促のたびに汗をフキフキ、「もうしばらく待ってほしい」と申し訳なさそうに言います。

●官僚の物別れ作戦

そしてついに決定したのが資料提出から1ヶ月半も過ぎた11月18日です。
場所は虎の門第10森ビル1階ロビーでしが、この会見はまことにお粗末きわまりない結果となってしまいました。
おそらくは、物別れにしてしまう先方の作戦だったのです。
物別れ作戦は官僚の最も得意とするもので、非常に成功率が高いものです。
何せ時間がくるまで黙っているか、べらべらとアサッテのことをしゃべっていればよいのですから。
建設省側はなぜか日本道路公団の方でした。
総務部経営企画課(どうもわけのわからん肩書きです)熊野佳正氏、総務部経営企画(ますますわからん)本田牧夫氏、そして私と松原さんです。
松原さんを囲んで和気合い合いの時間がながれます。
そして30分もしたでしょうか、やおら松原さんが立ち上がります。
「誠に申し訳ないことなのですが、次へ回らなくてはなりません。和合さんと、ひとつ宜しくお願いいたします。いい答えを期待しています」。
大きな体の松原さんがいない後は、主の抜けた会合のようになってしまいギコチなく時間が流れていきました。
と、まもなく本田氏が豹変します。
ダラダラと意味ないことをしゃべり始めたのです。
時間がもったいなかったので、本田氏にお願いいたしました。
「本田さん、そのことでしたら後日で結構です。書いたもので解答して下さい。話しを先へ進めたいと思います」。
そう言うと、本田氏はキッとなってこう答えたのです。
「全ては官報に記載してあるので読んで下さい。
以降、当社と(なぜか自分の職場をこう言います。
日本道路公団ではないはずです。
人の通行料金で生計を立てているくせに、図々しいにもほどがあります。
図々しさの限界を越えています)話をするときは官報をよく読んで勉強してから来て下さい。
官報に記載されているもの以外は話をする気はありません」。
出ました!松原氏はすでに不在です。
ころはよしと見て作戦を開始したのです。
建設省の皆さんと今日のために練りに練った作戦です。
これ以上の和合進撃をくい止めるのです。
こうなると官僚諸氏は強い、実に素晴らしい力を発揮するものです。
テコでも進路変更はありません。
そして本田氏の目的はほぼ達せられました。
こうなるとさしもの私も打つ手がありません。
おそらく今後もお会いする機会が何度かあるはずです。
本田さん、今日のことはよく憶えておきますよ。
この失礼極まりない本田のバカタレ官僚のことは、ちくいち松原氏にチクリます。
次回の場所は衆議院会館です。この手法は使えないでしょう。

●値下げができる

さてさて、愚痴をいっても始まりません。
現在までの資料整理で、とりあえず1000億円捻出の方法をまとめておきます。
手法としては人件費を除く支出の部分で広く浅く徴収することです。
そうすることにより、官僚の皆さんの反感を買うことなく無理なく進めらるのです。
これは消費税導入時に竹下登氏が盛んに言っていた論法です。
これに売り上げ自然増で味付けするとでき上がります。
①通行量自然増5%とします。これで697・5億円となります。 実質毎年2桁増で伸びているのです。
②損失補填引当金は現在売り上げの15%となっていますが、とりあえず10%とします。売り上げの5%ですから、自然増と同じ数字の697・5億円です。
③道路管理費の10%源で262・6億円となります。
④大口割引金額が通行料金収入全体の36%を締めています。実質、5022億円になります。これを実質10%減としますと、502億円です。
さて、合計どのくらいになるかというと2159・6億円となるのです。
値上げ2回分です。
今回値上げをしないで、かつ値上げ1回分を値下げすることができます。
これにはさすがの松原氏も感激した様子でした。
そして彼は言ったのです。「和合さん、これをどう大臣に上げるかです。トップダウンで行くか、下から持ち上げるかです。
官僚に花を持たせて下から持ち上げるほうがスムーズにいくと思いますが、彼らのどのレベルに設定するかです。すみません、少し考えさせてください」。
この物語はここで尻切りトンボとなってしまうのです。
すさまじいバブルの崩壊で、私自身がすっ飛びサンタになってしまったのです。
何とまあ、日本道路公団の幸せ者よ。
しかし、いつの日か必ず思いはとげます。
今はスーパーゴリラと言われますが、何せ昔はスッポンの和合と呼ばれていたものです。

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