高速道路建設はなぜ進まないのか(1)
対距離料金制の日本道路公団
同じ有料の高速道路といっても、こと料金の算定に関しては全国ルートの日本道路公団 管理の道路と地域限定の首都高速道路公団管理の道路とでは基本的に大きな違いがある。 前者は料金所入口で、通行券を受けとり、ユーザーが利用した距離に応じての料金を出口 で支払う。これを対距離料金制と称する。首都公団の依拠する償還主義と区別するため便 益主義、公正妥当主義との言い方もする。
対距離料金制の日本道路公団
同じ有料の高速道路といっても、こと料金の算定に関しては全国ルートの日本道路公団 管理の道路と地域限定の首都高速道路公団管理の道路とでは基本的に大きな違いがある。 前者は料金所入口で、通行券を受けとり、ユーザーが利用した距離に応じての料金を出口 で支払う。これを対距離料金制と称する。首都公団の依拠する償還主義と区別するため便 益主義、公正妥当主義との言い方もする。
オリンピック前からある外環構想
「ガイカン」という耳慣れない言葉を私が聞き知ったのは、東京都政担当の記者クラブに 配属されて直後のことである。昭和三十八年。翌年の東京オリンピック開催を間近かに控え、都市改造が急ピッチに進められていた。
なかでも最大の眼目が「ガイカン」であった。ガイカンが外環、東京外郭環状線の略称、 愛称とは、駈け出し記者にもすぐわかった。重要性への理解が深まった。
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一年を待たずして償還計画が破綻
有料道路の通行料算定の難しさと微妙さ。それを今、はっきりと示しつつあるのが、六 十三年四月十日に開通した「瀬戸大橋」である。
岡山県の早島インターと香川県の坂出インター・三十七・三kmを結ぶ瀬戸中央自動車道 を普通車で走ると、片道の通行料が一台六千三百円。わずか二、三十分の走行時間である。
「いくら便利になったとはいえ、ちょっと高すぎるのではないか。瀬戸大橋を見物し、 走ってみたい気はするけれど、往復で一万二千円もかかるとは、考えてしまうなあ」とい うのが一般の受けとめようだった。
拡幅だけで渋滞はなくなるのか
日本道路公団は東名高速の渋滞を緩和するためとして、今は厚木−御殿場などを現行 の片側二車線から三車線に拡幅工事中である。東名を走っていると、バラ色の未来を約束 する呼びかけをよく見かける。
「もうすぐ三車線に拡幅されます。渋滞の解消は間近です。お待ちください」
「少しでも走りやすくしたい。スマイル・ロード東名。三年間でレベルアップ」
呼びかけスローガンを目にする都度、道路づくりの順序を間違えたままでは、せっかく の三車線拡幅工事がはとんど効果をあげないのではないかと反発を感じる。
途中のパイプをいくら太くしても、出口部分が細いままであっては、太くした途中の流 れがよくなるわけはない。“糞詰まり”は少しも改善されない。三車線化の拡幅工事が全 くの無駄というのではないけれど、日本道路公団がまず手がけ、最優先すべきは東名高速 から首都高速用賀料金所一方向にしか行き場のない膨大な車群の逃げ道を作ること。雪隠(せっちん) 詰めを放置する日本道路公団の手違い方式には、ユーザーの側が、もう、うんざりさせら れっぱなしである。
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今から三年ほど前の昭和六十年秋に日本道路公団を取材した時のことである。
建設費償還が終わった有料道路を順次無料解放する計画について、公団首脳が私にはっ きりと説明した。
「これまでに全国で四十八の有料道路が償還を完了し、国道や地方道として一般に無料解 放されました。これからだって、京葉道路が昭和六十五年に三十年の有料期間終了で無料 解放されるのを初め、箱根新道が六十七年に、第三京浜が六十九年にそれぞれ無料解放さ れる予定です」
有料道路の個別償還方式が四十七年にプール制料金の導入で一括計算方式に改められた とはいっても、それは東名・名神や東北自動車道などの主要高速自動車国道に限ったこと。 個別に独立した有料道路まで、みんなまとめてプール計算するわけではないとの説明で あった。
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