第11信 あなたの金銭感覚がわからない 値上げじゃなくて値下げが可能なのに

あなた方は「料金改定」と言う。私たちは「料金値上げ」と言う。
どこが違うのだろうか、一所懸命考えました。私たちは実際にサイフからお金を払います。
500円から600円になったので、これは100円の料金値上げです。
500円から400円になれば100円の料金値下げです。喜ばしいことです。
これは誰しも異論のないところです。おそらく、ありえないことではありますが、500円から400円になったとしてもあなた方は料金改定と言うのでしょう。
要するに料金改定と言う言葉の中には、お金という意味合いが含まれていないことに気がつきました。
事務処理上、500円から600円に数字が変化しました、数字の規定を改定しました、ということです。
これはじつに恐ろしいことです。
貴公団の末端の職員までが通行料金だとか借入金だとか借入金利だとかに対して、それがお金であるという感覚がまったくないのです。

園田 和合さんッ、公団は今1兆7,000億の借入がありますッ。いったい、あなたはこれをどうするつもりなのですかッ!
和合 ……? ……ッ? ……えッ
園田 いったい、あなたはこれをどうするつもりなのか聞いているのですッ。
何を考えているのかまったくわかりませんッ。この借入金をどうするつもりですかッ。
毎年毎年借金をしなければなりませんッ。いいアイデアがあったら出してください。
和合 ……? ちょッ、ちょっと待ってください。園田さん、1兆7,000億の借入ですか?
園田 そうですッ。これをどうするのか聞いているのですッ!
和合 ……? そ、それで、誰が借りたのですか?
園田 もちろん、首都高速道路公団ですッ!
和合 ……
和合 借入金利はどのくらいですか?
園田 最高8.5%、最近は4.8%平均金利6%ですッ!
和合 ……ッ!
和合 あなたの所では年商どのくらいやってますか?つまり年間どのくらい通行料金としてお金が集まってくるのですか?
園田 ……? 年間1,800億です。
和合 ということは、借入金は年商の9.4倍ですか……
園田さん失礼ですが、これはアイデアがどうのこうのという話ではありません。
民間でしたらとっくに倒産です。これはまず再建計画から始めなければなりません。
まず浅井さんはじめ上から10人の人に人心を一新すべくやめてもらわなければなりません。これは真剣な話です。
園田 ……? 何ですか? ……何といったのですか?
和合 まず再建計画を立てなければだめだ、と言ったのですよ。
上から10人やめてもらわなければならない、と言ったのですよ。アイデアはそれからだ、と言ったのですよ。
園田 ……?

コスト意識はまったくありません。まるで金銭感覚がありません。
あなたのところの課長クラスまで1兆だとか7,000億だとか平気で口にするのです。なぜか財投融資の話は出ません。
われわれ民間レベルでは、年商売上金額と借入金合計が近くなる数字が倒産ラインです。
民間と貴公団と異なる部分を考慮しても遥かに倒産ラインを超えています。
20年ほど前国鉄の借入金利が1日1,000万円になりました。東京駅の売り上げが1日1,000万円でした。
金融機関のために東京駅を経営しているのか、と大変問題になったことがあります。
貴公団は、その比ではありません。浅井さん笑いごとではありませんぞ。
1兆7,000億円を年利6%で借りますと、金利だけで年間1,020億円になります。
売り上げの56%です(利益の56%ではありません)。
一年間の内、6ヶ月以上の売り上げは全部利息です。1ヶ月85億円、1日2億7,000万円です。1時間1,125万円ですぞッ!
これはもうジョークを通り越してブラックジョークの世界です。
超低金利の現在、私の会社でも最高6.25%、最低4.5%、平均5.5%です。前の高い金利は借り変えをして全体金利を下げる作業を常にしています。
金融機関とは0.25%の金利攻防戦をやっています。
もし、超優良企業のトヨタ自動車が借入をするとすれば3%以下です。
生保から直接借入をすれば2.25%が可能です。「それは大蔵省が……」などと言っている時ではありません。
あなたの権限外のことでしたら声高らかに叫べばよいのです。
それはあなたの仕事です。わたしはもう喉がカラカラです。なぜ、私より高い金利の借入をしているのですか?
首都高速道路公団の保証人は日本国政府です。
日本国政府を保証しているのが1億2,187万人の日本の全国民なのです。これ以上立派な保証人はありません。
できないはずがありません。金利が1%下がると年間170億8,000万円の金利 削減になるのです。
そして今回、こんなに騒いでいる20%値上げの100円の増収分が、年間300億円なのです。
現在の金利よりたった1.8%を下げれば今回の値上げをしなくても済むのです。 今、金利2.5%に借入を変えたとします。
年間支払い金利425億円となり現在6%の借入金利の年間支払い1,025億円に対して595億円と言う莫大な金利経費削減となります。
浅井新一郎殿、この数字を覚えておいてください。
これは今回100円値上げ分年間増収額300億円の2回分にあたります。
ということは、現行通行料を100円値下げして400円通行料金が実現することになります。
あるいは500円通行料金を現行維持しても、295億円という資金を次期投資に回すことができます。
そのくせ、私の100円にはあれだけこだわるのだから、あなたは少しピントがずれています。
30年で無料にするということは、投資したお金は30年で償却しなければならないということです。
これは、唯一プール料金制に対しての歯止めなのです。この歯止めが守れないということはプール料金制が頭打ちになったということです。
償却でくなければ、事業計画の失敗か資金計画の失敗かいずれにせよ原因があります。
そして、その償いを政府資金で補充し(もっとも、それも税金だから私たちが払うことになるのですが)、30年で無料にすることが絶対に守られなければなりません。
すべて通行料金でまかない、30年で償還できなければ、それを延期したり、はたまた他の路線と一緒にして事実をボヤカシたりしてはいけないのです。
<政府資金を投入してもこれは絶対に守らなければいけない>という不文律により参加省庁が増え、事業計画が慎重になり、自然と歯止めの役割をする結果になります。
通常私たちの組織では、1担当者でその問題を解決できなければその上の係長さんが出て来ます。
それで解決しなければ課長さんのお出ましです。部長さん、専務さんそして最後に社長さんが結論を出します。
問題が下から上へあがって行くのです。あなたの組織は非常にユニークです。
最初にトップが出て来て、問題が解決しないと段々下に下がって来ます。
昨年『週間ポスト』等で最高トップである、浅井さんが対談記事として度々登場しておりました。
次に理事の登場です。栗山昌久理事が新聞のコメントをなさっていました。次のテレビ係は松下部長さんの出番です。
歴代の私の担当者は、現在関課長さんです
いつまで続くかわかりません。またまた担当者替えになるかもしれません。
その内、「100円ッ!」というセリフしか与えてもらっていないゲートのおじさんたちのしか、お相手をしてもらえなくなるのでしょうか。
1988年8月28日
フリーウェイクラブ 和合秀典
首都高速道路公団理事長 浅井新一郎殿

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