あとがきにかえて

当時、私に父が代表取締役であった(有)和合ダイカストが客先の不渡りをくらいついに倒産のうめきを見たのが、忘れもしません昭和46年1月5日のことです。
私は、債権者の皆さんの怒号と誹謗のなかで涙がとめどもなく流れていました。
皆さんに申しわけないというような涙ではありません。大変な借財のなかでの恐怖感でもありません。
毎日の不眠不休でそんな健康な頭の状態は当の昔になくなっていました。
仕事などはこれからまた軒下から1からやり直せばよいと思っていました。
思い出多きこの場所から離れなければならないという惜別の涙です。
が、しかし第1回目の債権者会議で思いもよらない出来事が起こりました。
社長である私の父が退いて、弱冠30歳の私に新会社を起こし、新しく出発しろというのです。
債権者の皆さんは少ない配当で残金は待つというのです。
あっけにとられている私を尻目に債権者会議はドンドン進んで行きます。もちろん私に異存などあろうはずがありません。
それを境に涙の性格が徐々に変化していきました。
皆さんに対して感謝の気持ちと世の中のどうすることもできない大きな心を感じたのです。
と同時にあまりに大きな責任感で押しつぶされそうな恐怖感で心は一杯になりました。
つぎに出てきたのが、よし今度は俺の番だというはちきれそうな未来に対しての期待感です。
心はむしゃぶるいしています。本当に申しわけないことだと思いましたが、30人ほどいた従業員の方を15人にしていただきました。
手形割引のこともわかりません。
お金なし、仕事なし、知識なし、のないないづくしで新会社が出発しました。
あるのは技術とはちきれんばかりの未来に対しての期待感だけです。
いろいろなことをにりこえたくさんの知識を勉強しながらとにかく全力疾走で駆けぬけてきました。17年前の出来事です。
疑問を感じたり難しい困難なことにぶつかった時、決して逃げてはいけません
不便な場所をのりこえるたびにノウハウが積かさねられます。可能性の追求です。
これは日常であろうが、会社の業務であろうが、政治家であろうが、すべて同じです。
いろいろなデータを集めて組み合わせます。その時、気をつけなければならないことは余分な枝葉を見ないことです。
基本的なシンプルなものの考え方でデータの組み合わせをする必要があります。
それでも方法が見つからなければ考える土俵を広げることです。東京都で考えるより関東で考えます。
日本国よりアジアで考えます。地球全体より宇宙規模の発想を心がけます。
もちろん方法が見つかっても今日は実行できないかも知れません。
でも明日は実行できるかも知れません。方法にいきづまってクヨクヨすることはありません。
今日見つからなくても明日は解決します。おかげさまで特許、実用新案が出願中のものも含めると170件になりました。

さて、今回の問題に出会うまでは政治行政などはまるで身近なものとして興味はありませんでした。
もちろん国も行政も知恵を出しあってわれわれのために存在するものであることは疑ってもみませんでした。
一所懸命やっていると思ったのです。
しかし、事実はなんとバカらしいことかッ、まるでわれわれドライバーの無知とおとなしさの上にアグラをかいてやりたい放題ではないかッ!
道路行政、渋滞対策などはおして知るべし、いったいこれらは誰の責任なのか。
高名な東京大学経済学部教授という岡野行秀氏などは、
「実質的に料金が安くなれば交通量はさらに増え混雑はいっそう激しくなります。
利用者は渋滞の被害者であると同時に加害者でもあります。
不満な人は高速道路を使わなければその分だけ交通量が少なくなり混雑も減少するので走行速度は上昇します。」
(『日刊現代』1988年12月21日付)
などとじつにバカげたことを堂々と言っています。
また、交通評論家の草間洋一氏などは、首都高速道路からまた聞きしたできもしない中央環状線の計画図を堂々とマスコミに掲載し、
「われわれユーザーとしてはその計画が1日も早く実行に移されることを願わずにはいられない。
と同時に“お上”に対して不満を述べ、利己的な私権だけを主張する態度を改める必要がある」(『同前』)
などにいたっては、何をかいわんや、である。バカらしくてコメントもできない。
時代の先端を行かなければならないはずの評論家の立場の人が時代錯誤もいいかげんにしてもらいたいものである。
江戸時代でもなかろうに、“お上”とは官尊民卑もはなはだしい。
が、しかし、ここに日本人の決められたことは守るという不思議さがあり、異議をとなえる人たちをわけのわからない理由で封じ込め、
過去、日本最大の過ちであった世界中を相手にした第2次世界大戦の根本的原因があります。
有料道路制度問題、外国人雇用問題、原子力発電所建設問題などすべての出発は同じところから出ています。
すべてがその時必要であった背景から生まれた制度なのです。
お金もない仕事もない資源もない、ないないづくしの敗戦日本にどうしても産業の復興が必要でした。
技術知識を 持っている諸外国の方はよろしい単純労働者はいけません。
仕事のなかった頃の制度が世界経済のリーダーシップをとっている現在も生きており、
決まったことだから守らなければいけないとの日本人独自の考え方で正常な声が届く場所さえなく押し流されています。
読者の皆さん考えてみて下さい。
世界最高の黒字国であり、世界中から日本パッシングにあい、お米の自由化が避けられない今日、単純労働の輸入はダメなどと世界に通用すると思いますか?
今日の日本の若者が単純労働をやろうはずがありません。アメリカの雇用の歴史をみてみれば一目瞭然です。
産業の復興には電力確保が最優先との当時の世相が火力発電、水力発電はおろか原子力発電など大変な支持を受け1町1村が湖底に沈むというような多大な犠牲を払い現在の豊富な電力事情を向かえるにいたっています。
発電設備を平均に稼動する必要から夜間電力料金割引制度などをもうけてもっとたくさん電気を使って下さい、
との状態で電力各社はこの円高の影響で空前の利益を出しており、電力不足で停電を余儀なくされるというようなことは今日到底考えられません。
原子力発電が安全か危険かなどの異議はまったく無意味なものです。
これだけたくさんの人々が真剣に体当たりで反対されている事実だけで充分です。充分答えは出ています。
ましてや、いくら安全堕との専門知識をご披露されても1回の事故ですべては終わりです。
渋滞の責任すらとれない現在の行政でいったい誰がどういう責任をとるのですか?
ちなみに原子力発電の原理は広島長崎で落とされた原子爆弾と同じものです。
その驚異的なエネルギーをコントロールしているにすぎないのです。
それにしても竹下さんという方は度胸のある方です。
ほとんどの国民の皆さんが反対している消費税を戦後最大疑惑リクルート事件を背負いながらも実行するのですから。

この世で1番の働き者は水である、という信念のようなものを持っています。
山の上に降った雨は、自分の進むべき道を常に行動します。
決してまわりの形、環境に逆らうことなく、行き止まりであれば引き返し必ずや小さな隙間を見つけ出して、
下へ下へと行動します。ついに海へとを流れ込むまでは、一時も休むことはありません。
始めは終わりのためにある、と言います。人が生きている長い時間はなんの目的があるのだろうか?
……老いて物語を作るためです。私はこの問題をいつものとおり常に出会っている、いつもの問題のひとつだと思っています。
この問題を解決することはひとつのロマンと哲学だと思っています。
そんなたいそうなものだとは考えておりません。“シンプル・イズ・ベスト”に従ってデータを組み合わせ方法を見つけるだけのことです。
そして、それは浅井さんはじめ関係各者に実行していただきましょう。
この本が店頭に並ぶころは、首都高速道路500円通行は250回になっています。
もし私たちが今後も1987年9月9日の通行料金を凍結し続けたとしたら、どうなるのでしょう。
法治国家の名のもとに警察に逮捕されるのでしょうか(しかし100円です)。
それとも民主主義国家の名のもとに話し合いの場が設定され皆で知恵を出しあうようになるのでしょうか。
1989年1月15日
フリーウェイクラブ 和合秀典
読者の皆さんへ

? 渋滞電話…首都高利用中、渋滞にあったら公団に自動車電話を入れ、出口まで職員の方につきあっていただき、利用
者の意見を聞いてもらう。和合流コミュニケーション的抗議手段。
? 石原様…首都高速道路公団の秘書課・石原正夫氏。
? 松下さん…首都高速道路公団管理部長・松下孝造氏。
? 園田さん…首都高速道路公団管理部経済課長・園田八郎氏。
? 関さん…首都高速道路公団管理部調査役・関行宏氏
? 道路整備緊急措置法第14条の(2)
? 栗山さん…首都高速道路公団理事長・栗山昌久氏
? 英文雑誌……B Z W JAPAN,May,1988
? イギリスの新聞……「デーリーテレグラフ」と言う新聞で、発行部数はイギリスで第1位を誇るという。
? 小川国彦衆議院議員の追及……1988年9月2日、衆議院決算において「首都高速道路公団の大量な無料券の発行と
トンネル協会によるムダ使いの問題について」の追及が行われた。
? 巻末見返しを参照して下さい。
? 巻末見返しの図を参照

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【金融機関】三井住友銀行
【支 店 名】高島平支店
【口座種別】普通
【口座番号】1787668
【口座名義】
 新党フリーウェイクラブ
 代表者 和合秀典

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