私の自宅近くのスーパーマーケットに料金所のあるおじさんがきたことがあります。
彼はアジ演説をぶちました。
「和合のおかげで、私たちは本当に迷惑している。孫にもおこずかいをあげたい。
あいつはわれわれのささやかな職場を取り上げようとしている。」
お酒を飲んでいたということです。
料金所のなかで深々と、おじぎをしてくれたおじさんがいます。
「和合さん、お願いですからもう100円払って下さい。和合さんを通すとわれわれはもう大変なのです。
大変なお叱りを受けるのです。たくさん書類も書かなければなりません。私にはまだこの職場が必要なのです。」
彼は両手を合わせていました。
「おいッ!こらッもう100円払えッ!」
私はムッとしてゲートを通り過ぎてから車を止めて、おじさんを待ちます。
「和合さん、40分間説得したことにしておいてくれよ。」
「よしッわかった、あなたは私を説得したよ。俺はそれをふりきって行くよ」
「公団にゲートのおじさんと仲がいいなんて言わないでよ。」
「わかった、それじゃあ。」
「おじさん、これをお願いします。」
宣言書と500円玉をだします。
「おじさん、通っていいのかい。」
彼は黙っているので、私が念をおします。
「和合さん、あんまり迷惑かけるなよ、あなたがそこにいる限り俺は説得し続けなければならないじゃあないか。」
ゲートのおじさんたちの対応もいろいろです。
浅井さん、あなたは現場のこういった状況をどのくらい把握して指令をだしているのですか。
下から上がってくる書類に目をとおして、
「和合、ケシカランこのままでは有料道路製にヒビがはいる。なんとしても阻止しろ。」 とゲキをとばしているのでしょう。
このまま放っておいても、10年後には自然にヒビが大きくなり、大変な問題となってわれわれの前に立ちふさがってくるのです。
あなたと私の茶番劇もまんざら意味のないものでなかったのです。
あなたのおかげで問題提起が5年は早くなりました。
「高速道路というのは、公団と利用者の信頼関係がなりたっていることを前提としてゲートを設計しているのですから500円で通ろうとおもえば通れるのです。」
と、あなたがたはよく言います。
でもこの信頼関係を最初に裏切ったのはあなたでしょう。
問答無用とばかりに、一方的に値上げを私たち利用者に押しつけてきたのですから。
浅井さん、あなたとはいつの日にかお会いする時がくるはずです。
あなたが問題を放置して逃げださないかぎり。
時間を無駄にはしたくないものです。
1988年7月17日
フリーウェイクラブ 和合秀典
首都高速道路公団理事長 浅井新一郎殿
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