プール料金制とかけてネズミ講と解く、その心は「道路建設ニーズ」があるかぎり続きます。
ネズミ講を考えた人に代表的な質問をしてみます。
世界中の人間が全部入会したら、ネズミ講は終わりじゃないか？
——いえいえ、ネズミ講は永久に続きます。親会員が子会員を作る手順を考えて下さい。
親会員の資格を得るために2人以上の子会員を作らなければなりません。お金を集めて本部に送ります。
それで初めて親会員の資格ができます。これをやるのに１日かかったとします。
この１日の間に世界中に生まれてくる人間のほうが、はるかに多いのです。ゆえにネズミ講は永久に続きます。
プール料金制を考えた人に代表的な質問をしてみます。
日本中の道路建設ニーズが全部完成したら、プール料金制は終わりじゃないか？
——いえいえ、プール料金制は永久に続きます。既存の道路に、新線道路をつなげる手順を考えてください。
大変な時間がかかるのです。これをやるのに5年かかったとします。
この5年の間に日本中に生まれてくる道路建設ニーズのほうが、はるかに多いのです。
道路建設能力よりも、生まれてくる道路建設ニーズのほうが多いのです。ゆえにプール料金制は永久に続きます！
なんじゃあいッ こりゃあ！
もうおわかりでしょう。
完成した道路を会員と考え、道路建設ニーズを非会員と考えるのです。
子ネズミ会員（新線道路）が増えれば増えるほど本部（公団）にお金が集まってきます。
親ネズミ（従来の道路）が増えれば増えるほど本部（公団）にお金が集まってきます。
親ネズミ（従来の道路）に子ネズミ（新線道路）がつながると、今までの通行料金プラス子ネズミ分（新線道路）のお金が本部に集まります。
これはどこから見ても立派なネズミ講です。
ちなみに、ネズミ講は法律で禁止されています。
このプール料金制というのは、かぎりなくあなたがたに都合よくできています。
ドライバーの無知につけこんでやりたい放題です。新線道路が完成した時が納期で、5年計画が10年かかっても平気でしょう。
新線道路が完成してかかった費用をそのまま予算とできるのだから、1000億の予算で５０００おくかかっても平気な顔をしているでしょう。
要するに、金は使い放題、あなたたちは食べ放題、納期はなし、そしてすべてのツケは利用者に転嫁できる仕掛けになっているわけです。
一般の企業活動では考えられないことばかりです。
いったいこの日本列島から高速道路はもう満杯だもうたくさんだ、という日はいつくるのですか。
100年後ですか？プール料金制というのは、そこから30年後に通行料を無料にするということでしょう。
これじゃあサギじゃないですか。民間で同じことをやったら相手にされなくなります。
都市は生き物です。今日必要な道路は50年後は必要でないかもしれません。
今日必要でない場所に50年後に道路が必要になってくるのです。
昨年何回か、園田さんはじめたくさんの職員の方が私に説明にきてくれました。
延べ相当な時間お互いに話し合いました。
園田 和合さん、これは法律で決まっていることなのです。こんなことしていると、大変なことになりますよ（もう大変なことになっています）。
30年たったら無料になりますよ。それが5年後の1993年にきます。
和合 ……？しかし、園田さんそれだけ借金がありながら、5年後にどうやって無料にするのですか。
最後の1年10万円にしなければならないでしょう。
園田 いえいえ、法律で決まっているから大丈夫です。
和合 ……？しかし園田さんだれが責任をとれますか？なにしろ金額が大きいですからね。
失礼ですがあなたの個人資産は？
園田 いや……私は今住宅ローンを払っている最中ですから。
和合 園田さん、君は頭もいいし弁も立つ、しかし少々しゃべり過ぎだよ。その、しゃべり過ぎを直さないと課長止まりだよ。
とうとう、プール料金制のことはでませんでした。こんなことを何回くりかえしても、私を説得したことにはなりません。
残業手当を使って1回に3人もくるのです。3時間もこんなことを話しているのです。気が弱くて、おとなしい私でもさすがに怒るのが当たり前でしょう。
浅井さん、立場を逆にして考えて下さい。
自分の疑問にたいして、この説明であなたは納得しますか？
ちなみに、私がプール料金制について知ったのは、1月のテレビ番組での貴公団との問答の時です。
松下さんが説明しておられました。その時思わずサギだ！と叫んでしまったものです。
今や、１杯のラーメンより高くなってしまった首都高速道路通行料金が頭打ちになるのは、時間の問題です。
庶民感覚で５００円が頭なのです。
３０年で無料になるとは、よく言ったものです。５００円通行という行動は大変な時間と、精神エネルギーを消耗するのです。あなたには、おわかりになりますか？
＜あの人は英雄気取りで、夢のような話をしている＞
あなたのところの担当理事とおっしゃる栗山?さんという方が『東京新聞』（１９８８年１月１７日付）でコメントしておりました。
私がマスコミを騒がせてテングになっているとでも思っているのでしょうか。
いやしくも、首都高速道路公団理事ともあろう人が、軽々しいコメントはしないことです。あなたの教育が悪いのです。
私も含めて皆で仕事を分担しているのです。もう次元が低くていやになります。
浅井さん、あなたはそう遠くない時期に退職なさるのでしょう？
またどこかへ天下りですか？
それとも、この問題を片づけるべく、不退転の決意をなさいますか？
あなたの長い人生でちょっと方向を変えてみませんか？
残された時間、せめてわれわれの問題の方向づけだけでもされたらどうですか？
プール料金制という単純知能犯幼稚悪法に挑戦してみませんか？
ただ待っているだけではだめです。ピントはずれのことにエネルギーを費やしてもだめです。まだ間にあいます。
この問題は世の中が私に与えてくれたリクエストだと思っています。
同時にあなたにたいしてのリクエストでもあるのです。わかりますか？
１９８８年７月３１日
フリーウェイクラブ 和合秀典
首都高速道路公団理事長 浅井新一郎殿
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