第9信 あなたはなにかにとりつかれていませんか ドライバーがいて高速道路があるのです その逆ではありません

現状維持機能ということばを知っていますか。
昨日と今日と明日は同じでなければならない、という本能に近いものです。
これは大きな組織ほどより強くほとんど理屈抜きで存在しています。
本当につまらないことでも人は時として変化を嫌い、これに命がけになります。
このまま時を重ねていっても絶望的であるとわかっていても、現状維持機能を貫き少しでも長く現状に身を置くべく、あらん限りのエネルギーを消費します。
第3者が見ていて滑稽にうつる場合でも本人は真剣で必死です。

そして、それに投入されるエネルギーは改革を遅らせ、時間を無駄に消費する以外のなにものでもありません。
その間にわれわれ利用者の負担は拡大するばかりです。
この言葉は今回のこの問題に出会ってから創作した新語です
このことを頭に入れて過ごすのと無意識に過ごすのとでは時間と共に脳の思考形態が大きく変化してきます。
そのことを意識できれば物事を冷静に判断したアメーバ思考形態が習慣化されます。
しかしながらあなたがたはまさしくこの現状維持にとりつかれているのです。できることからやっていこうと言う姿勢も大切だと思います。
しかし、今回のテーマは安くて速い首都高速道路の完成なのです。それをどうするか、ということなのです。
プール料金制あるいは現在の用地買収をふくむ建設計画の延長線上で考えることを断念しなければならないのです。
基本的な発想の一大転換が必要なのです。
あなたは私の手紙を意識的に無視するであろう事は充分わかっています。不思議なことに今日の日本の官僚において、あなたはそれができます。
そう遠くない退職の日まで、じっと時の過ぎるのを我慢してればよいのです。非常に腹のたつことではありますが事実は認めなければなりますまい。
しかし、これらの手紙に目を通すことは、あなたの仕事の1つなので読むことは避けられません。
繰り返し、繰り返し、手を変え、品を変えた手紙を読まなければならない状況においては、それは少しずつではありますが、心のどこかに、何かが積もっていきます。
まるでお風呂の湯垢のように、少しずつ、少しずつ積もっていくであろうことも、自然の摂理です。私はその湯垢に一明の希望をつないでいるのです。
そうです。この問題は湯垢みたいな単純なものです。複雑な理論はなにもありません。
道路建設のオーソリティーや経済学が口角泡を飛ばして論ずるような難しい高度なテーマでもありません。
単純明解なのです。
道路建設に使われるガソリン、自動車の税金を年間5兆5,000億円も支払っているのに、その上なぜ通行料金を払わなければならないのか?
道路建設の土地買収費用までなぜわれわれが負担しなければならないのか?
最後にその土地はだれのものになるのだろうか?
国のものになるのであれば、道路建設用地は国が用意するものだ。
しかし、おかしい。道路も国のものになるならば、やはり国が建設費用を負担するべきだ。
道路建設費用は充分に払っている。とすると、これは税金の2重払いか、通行料金の2重取りだ。
道路は無料でなければならい。本来、そういうものなのです。
これを民間レベルで考えますとまことにおかしな話です。
「道路という建造物を皆さんにお貸ししているのです。
したがってしたがって交通渋滞は、当公団の責任ではありません。
いやな人は利用していただかなくても結構です。」
などといいます。
浅井さん、建設物の賃貸業の代表的なものは、アパート、マンションです。これは土地代までは家賃に含まれておりません。
含まれると大変高価な家賃になり、双方ビジネスになりません。駅に
近い便利な場所は高くて、不便な場所は家賃が安いのです。価値によって決まってくるのです。
首都高速は渋滞があろうがなかろうが、便利だろうが不便だろうが一律です。しかも首都高速道路はあなたのところだけです。
私たちは他の首都高速道路を通るという選択の余地がありません。
首都高速道路は公団の独占的な公共事業なのです。いやな人は乗るな、とは暴言以外なにものでもありません。
のぼせ上がるのもいいかげんにしてください。首都高速道路料金で貴公団職員1,400人が生計を立てているのです。
そして、浅井さん、あなたの116万円という月給も、2,400万円という退職金もそこからだされるのです。
そして、その通行料の支払者は利用者であるわれわれなのです。
これを国が公団がというから、皆おかしいなと思っても決まったことだからということになり、なんとはなしに過ごしているのです。
それを、あなたは都合よく、勝手に勘違いして他の100万人の皆さんはキチンと払っています、
などと私を犯罪者扱いするのです。
通常、われわれの世界では、あなたは1,400人の従業員を抱えている首都高速道路株式会社社長浅井新一郎ということになります。
あなたの仕事は、いかに従業員の士気を高め会社の経営をうまくやるか、いかに会社を存続させていくかです。
それにより、従業員の安定した生活を確保し、自分も生計を得ることができます。
私の仕事も同じです。そのためにはお金が必要です。お金を得るためには仕事が必要です。
お客様から仕事をもらわなければなりません。私も50件からの客先から注文をもらい、安価で品質のよい部品を提供し代金をもらいます。
あなたも同じことです。1日100万人の利用者に安くて速い高速道路を提供し収入を得ます。
そして、そのお客さまは紛れもなく通行料支払者の利用者なのです。われわれなのです。
利用者をさしおいて首都高速道路公団は存在しません。
首都高速道路公団があって利用者がいるのではありません。利用者があって首都高速道路公団の存在があるのです。
有料道路制度があってドライバーがいるのではありません。ドライバーがいて有料道路制度があるのです。
民がいて法があるのです。
1988年8月14日
フリーウェイクラブ 和合秀典
首都高速道路公団理事長 浅井新一郎殿

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