第7回 公聴会で和合大爆発

●死に目に会わせる高速道路?

日本人のブランド志向は、限界をはるかに超えて滑稽でさえあります。
今回の首都高速道路公団の公聴会でよくわかりました。
日本国政府の権力中枢である霞ケ関の中央合同庁舎で開かれた公聴会は、テレビカメラがズラリと並び、目の眩むような強烈な光の世界。
マスコミ席には50人ほどの記者が詰め、後方には300人ほどの公聴人が咳一つ立てずに静まり返っています。
順番はアイウエオ順、ということは、「渡辺」さんがいない限り、いつも最後になるのが常の「和合」だけに、案の定、最後の公述となってしまい、仕方なく何人かの公述を聞いていると、次第に「こいつらアホか」とイライラしてきました。
例えば某大学の某教授などは、「通行料金は1万円でも安いと思います。5年前に母が危篤となりましたが、首都高速道路のおかげで母の死に目に会えました。本当に、何とお礼を言っていいやら言葉が見つかりません」。
こんな先生の授業を聞いている学生は本当にかわいそう。

このまま若者を教え続けるのは罪に価するでしょうから、日本酒でもチビリチビリやりながら犬でも相手してなさい。
痛烈な値上げ反対論者だというので楽しみにしていた、どこかの会社社長と称する方も全くお話になりません。
なにしろ出だしがすごかった。
「このような晴れがましい場所で、たくさんの皆さんの前で、私ごときが意見を述べさせて頂けることを大変な光栄と思います・・・・」。
これが皮肉ならたいしたものだが、彼は間違いなく、喜色満面そのものです。
「晴れがましい場所」に至ってはバカかとしかコメントしようがない。税金で建てた合同庁舎で公僕を前にペコペコするばかりか、血迷ったのか「晴れがましい」などと、ありもしないブランドを羽織り、テレビカメラの前でスター気取りだから救われません。

●なぜ大臣が来ないのだ

散々茶番を見せられた挙げ句、やっと和合さんの番です。
和合さんはこうはいきません。
皆さんは用意された机の椅子に座って演説をしていましたが、私は立ったままの姿勢で全体をズラリと見渡した後、正面をハッタと睨みつけると、正面で偉そう に皆さんの演説を意味ありげにフムフムなどと聞いていた2人は建設省と運輸省の課長であることに気づき、仰天しました。
「なんじゃい、これは。何でこんな人たちに意見を言わなければならないのか?こいつらがそんなに偉いとでもいうのか。建設大臣でも出てくるのではなかったのか?主権者の我々は選挙で役人を選んだわけではない」と言いたいくらい、とにかく無性に腹が立ちます。
そこでまず演説の前に、正面でズラリと並んでいる役人どもに自己紹介をさせました。
彼らは目をパチクリさせながら、名前と役職を1人ずつ答えていきました。
軽いジャブを放っておいて、いよいよフリーウェイクラブ会長の演説開始!以下はその際の要旨です。

私は和合秀典と申します。
ご存じの方も多くいらっしゃるかと思いますが、現在首都高速道路公団とは裁判係争中であります。
6年前、通行料金が500円より600円に値上げされました。
当時は高速道路として機能していませんでした。
この現象は現在も変わらず、むしろひどくなる一方です。
何でこれが値上げなんだ!と怒りで頭の中がまっ白となったのを覚えています。
あわせて首都高には利用者を無視して、「今日から料金改定となる」との一方的な通告のみで次々と値上げを繰り返した歴史があります。
とにかく怒り心頭に発した私は、以後旧料金の500円で首都高を利用させて頂いております。
裁判所では差額の100円の意味が議論されているわけです。
「100円の値上げは100円分速く走れなければいけない」が当方の言い分に対し、公団側は「決められた通りにやっている。一切の手落ちはない」と意味不明の説明を繰り返してきました。
時代は確実に変化しています。
当時は「不法通行者が何を言うか」と罵詈雑言を浴びせられ、500円通行のたびに愛車をガンガン叩かれていた私が、公述人として意見を述べられるのです。
新しい風も心地よいとも思いますが、そうも言ってはいられません。
日本国の首都にある首都高速道路の異常事態を何とかしなければ。
公団の皆さんも真剣に考えて頂きたい。
今日の状況は、値上げがどうのこうのという前の、全くの異常事態なのです。
正常化には相当の蛮勇が必要です。
繰り返された値上げのツケを清算し、値上げに終止符を打つと同時に抜本的対策を見いだして、正常化へ向けて出発するのは、21世紀目前の今が最後の好機でありタイムリミットだ、との認識を新たにする必要があります。

●高速で走れてこそ高速道路

私は今回の値上げには反対です。 断固として反対致します。
第一に公団は利用者に対して基本的な約束事を守っていません。
基本に立ち帰って考えてほしい。
首都高速道路は、首都・東京を高速で走れる道路である。つまり我々利用者は「速く走れること」に通行料金を支払うというのが「基本的な約束事」です。
確かに公団は我々利用者から通行料金を徴収する権利があります。
それによって職員の皆さんの快適な生活が保障されるわけです。
しかし権利と義務は表裏一体で、職員は速く走れる高速道路を我々利用者に提供しなくてはなりません。
それによって我々利用者も快適な生活が保障されるわけで、相応の料金支払いは惜しみません。
先日、戸越ランプより首都高を利用させて頂き、しばらく走ると地図入りの電光掲示板が目に入りました。
地図には渋滞を示す赤とオレンジのダンダラ模様で塗りつぶされています。
何と、首都高全域が渋滞しているのです。
天災や事故があったのではなく、通常の状態での出来事です。異常事態でなくて何でしょう。
これまでの値上げは、車線を増やしたとか、大変な費用をかけて橋を架けたとか渋滞解消を理由にしていたが、全く無意味だったのです。
ましてや東京の新名所作りが理由になろうはずもありません。
「渋滞は解決しました、さあ値上げはいかがなものでしょうか」が順番であり常識であり正常な要請です。それができないならば、首都高速道路の看板を降ろして、「首都低速道路」「首都駐車場」「首都道路」などと改称し、無料開放するべきです。

●渋滞は人災だ

次の値上げ反対理由は、渋滞原因が事業計画の失敗から来る全くの人災であるという点です。
首都高速道路の通行量1日115万台の30%強に当たる40万台は東京には用がなく、中央自動車道から常磐自動車道へ抜けたいが、外環状線がないため止むなく首都高を通らざるを得ない車たちなのです。
国内のあらゆる物質は、首都高速道路を通過しないと反対側へ行けない構図になっています。
全ての生活物質は首都高の通行料金の支払いを強要されているわけで、計画の失敗か故意なのか、日本列島を分断する、いわば関所となっているのです。
東京に用のない30%の車が流れ込まなければ、高速道路本来の機能を取り戻せます。
その唯一の方法が外環状線の建設ですが、外環状線建設を首都高建設の後に回したため、計画のほとんどの部分が土地買収すら終了していません。
造れるところから造ってしまった計画のなさと見通しの甘さが、「高速道路全域渋滞」などという化物を生み出してしまったのです。
これは完璧に人災なのです。
今後の仕事は、レインボーブリッジを建設することではありません。
トイレを設置して利用者に媚びることでも、ゴキブリを追いかけるように、あっちの車線を広げたり、こっちの車線を増やしたりすることでもありません。
ひとえに、全エネルギーを渋滞解消のための外環状線建設に注がなければなりません。
道路建設は国作りに匹敵するテーマなのです。
ゴキブリと追いかけっこをしているような底の浅い計画では世界のもの笑いとなるだけではなく、我々利用者にとっては絶望的な事件なのです。
それでも首都高速道路公団の皆さんは、できもしない遠大な外環状線の建設計画を提示してくれますが、恐らく100年の歳月を費やしてもできますまい。
まず、土地買収まで含めた天文学的な費用が発生いたします。
30年間で償却されるはずのプール料金制システムでは物理的に立ちゆかなくなり、立ち往生するのは目に見えているのです。

●戦後立法にしがみつくな

反対理由の最後は、諸悪の根源であるプール料金制を温存している点です。
よくも、こんなバカげた決まりがまかり通っていたかと思うと腹立しくなるほどです。
30年で償却するということは、30年で通行料金がタダになることを意味します。
首都高の羽田一号線が建設され、タダにする約束の30年目が1992年、つまり昨年が(注:公聴会は93年実施)、待ちに待った第1回目の通行料金を無料にする約束の年だったのです。
とんでもありません。無料どころか、今年は値上げで大騒ぎをしているのです。
「行って来い」でダブルの約束違反です。
相手が公団ですから大騒ぎ程度で済んでいますが、これが民間でしたら間違いなく殴り合いのケンカとなっています。
全くバカげた話です。
そのバカげた話の根源がプール料金制です。
新しく完成した道路の建設費は30年後の無料化をめざして加算され、そのたびに無料化はその日から30年後に先送りされます。
日本中の道路は必ずどこかでつながっているわけで、要するに、このバカらしい取り決めは、日本中の道路建設が全て完成してから30年後に無料開放となるという、起こり得ないことを前提にしているわけです。
したがって永久に無料開放の日が訪れることもありません。
料金は永久に上がり続けます。
この異常な首都高速道路の混雑を解決する方法を、暫定対策と恒久対策とに分けて考えてみます。
恒久対策としては、東京を中心として50キロほどの半径で外環状線建設をすることです。
自然破壊など解決すべき問題が山積みですが、これとて公団の計画の失敗から、我々利用者がツケの支払いを余儀なくされている点なのです。
いずれにせよ今後の十分な議論を待たなくてはなりません。
そこで、とにもかくにも混雑を緩和するための暫定対策を考えなければなりません。
いろいろな方々がさまざまな意見を述べられたと思いますが、最後に「道路は本来無料であるべきだ」ということだけは覚えていて欲しい。
特に、今回の値上げに賛成された方々に申し上げたい。
つまり、天下の公道から料金をとるシステムは特別な仕組みであり、特別な法律(特別措置法)に基づいているのです。
それが日本が第二次世界大戦の敗戦から立ち上がるべく、産業の復興のためにやむなく立法された特別な法律であることをわかって欲しい。
そして世界第一の黒字国になった今、この天下の公道から金をとるという全く特殊なこの法律は廃止されるべきだという主張も理解して欲しい。
このテーマには首都高速道路公団も建設省も利用者も一丸となって知恵を出さなければならない。
最後の最後にもう一つだけ皆さんと約束をいたします。
この見極めができた時が私の首都高500円通行の終わりの時であることを・・・・。

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